仕事
新聞を読んでいて、めったにおもしろいと思える記事に出会うことはないが、これは、ちょっと覚えておきたい話だな、と思うことはままある。これもそんな話。
リリー・フランキーという男だか女だかよく分からない名前の人がいるのは知っていた(写真で男だと分かったが)。その人の話の中に、農家の人は、米や野菜を作ることを仕事とは言わない。あれは、生業(なりわい)という。草抜きをしたり畦の草を刈ったり、明日のことを考えてすることを仕事というのだ、という意味の話があった。
当人は、そういう意味での仕事をしていない、と言っているのだが、なかなか含蓄のあるいい話だと思った。
もちろんかくいう私も、生業こそ励みはするが、明日のことを考えての仕事などはとうてい覚束ない。第一、明日のことを考えるにはもう遅すぎる気がする。年齢の問題ではない。いくつになっても、目標を定めて毎日を生きている人はいるだろう。そういう人にとっては、たとえば読書一つとっても仕事になり得る。
目標を立てれば、そのために努力しなければならない。自分で自分の鼻先に人参を吊るようなまねはしたくない。Take it easyを標語にして生きてきたから、明日のことも昨日のこともあまり気にならなくなっている。早い話が、その日暮らしなのだ。
生業には定年制というものがある。退職後は年金暮らしにはいるわけだが、そうなっても、仕事を持っている人はいる。正業に就くというのは、悪い言葉ではないはずだが、生業しか持たない人間の老後というのは、何だか味気ない気もする。仕事でなければ、遊びというのもあるが、これにも実は年季がいる。遊んでこなかったつけが回ってくるのだ。と、こうは書きながらも、明日は明日の風が吹く、とどこかで考えている私がいるのである。
2004-01-25 15:01:41 | Permalink | コメント(0) | Trackback(0)
読書三題
終日読書。よく晴れた冬の日を窓外に見遣りながら、窓辺に椅子を引き寄せ、本を読むのは、実に閑雅である。昨夕はめずらしく、若い人たちとの酒宴があり、楽しい一夜を過ごしたが、気分が上向きすぎたのか、酒量も増え、帰宅すると、すぐ風呂に入り、そのまま眠ってしまった。連休用にと思って用意した本がたまっていたので、今日は、読書の日と決めた。
一冊目は、前々から気になっていた『ヴァルザーの詩と小品』。ソンタグが、「散文によるパウル・クレー」と評しているので期待したのだが、たしかに、繊細で神経質だが、クレーにある本質的な強さが、感じられない。ある意味、そこにこそ、この人の良さがあるのだろうと思われる。きわめてヴァルネラブルな作風は、傷つきやすい人にとってはやすらぎを感じさせてくれるだろう。兄のカールによる挿画は弟の文章を忠実に絵画化したものだが、分離派風の暗い情念のようなものが濃厚な独特の雰囲気がある。
高橋英夫氏の『京都で、本さがし』は、本や音楽、に関する肩のこらない短いエッセイ風の文章を集めたもの。近畿大で教鞭を執っている関係で、大阪に関する話題がけっこう多い。近畿大の文学部は後藤明生が学部長になってから、質が高くなっていると聞く。高橋氏の折口講義なども、学生に返って聴いてみたいものである。
最後は、志賀直哉の『随筆衣食住』。三月書房が出しているはがき大の小型愛蔵本シリーズの一冊として、編者が志賀の随筆、短編から新しく選んで編んだものである。見かけは小さいが、そこは小説の神様、文章のリズムが小気味よく、久し振りに文章を読む快楽というものを味わった気がする。芥川と太宰の自殺後に書かれた文章が、作家の正直な真情が吐露されていて、その率直さが胸を打つ。若い頃は、志賀の良さなど分かろうはずもなく手に取ってみようともしなかったくらいだが、やっと、その良さが分かるようになったのは、単に歳をとったということかも知れないが、悪くない気分である。歳をとればとったで、新しい世界が開けて来るというのだから、これはこれで愉快でないはずがない。
2004-01-12 18:49:25 | Permalink | コメント(2) | Trackback(0)
体内時計
体の中で動いている時計が狂ってしまったようだ。
正月以来、昼夜逆転というほどでもないが、午前中(深夜から正午まで)頭がさえ、午後眠くなる。特に昼食後1時間を経過するともういけない。
原因は分かっている。
つきあうつもりはなかったけど、年末年始と若者二人のライフスタイルに影響され、宵っ張りの朝寝坊を続けていたからだ。
正月も明け、仕事に戻ってみると、午前中は心配していたわりに平気なのに、午後はだめ。コーヒーもそうは飲めないし、目を覚まそうと必要もないのに歩き回ってはへんな目で見られる。仕事の能率の悪いことといったらない。
いちばん困るのが帰りの車である。乗ってしばらくは何ともないのに、家が近づくにつれて意識が朦朧としてくる。信号で止まるたびに、眠り込んでしまいそうになるのを必死でこらえている始末だ。
おかげで、昨夜は頭まで痛くなってしまった。ところが、さあ寝ようという頃になると、頭痛もおさまり、目が覚めてくる。結局早く寝ることもできず、慢性の睡眠不足が続いている。
三連休は天の助け。なんとか、リズムを戻したいものだ。
2004-01-10 12:18:19 | Permalink | コメント(0) | Trackback(0)
初夢
朝方、夢を見た。夢の中で、
「こんなかわいい女の子がいるなんて知らなかった。」
と、妻に言ったら、
「自分の子どもを忘れるなんて。」
と、さめざめと泣かれた。仕方がない。今まで子どものいることは知ってはいたが、子どもが女か男かなんて考えもしなかった、と夢の中の私は抗弁していた。
現実としては子どもは男の子が二人いる。どちらもかわいいと思ってはいるが、心のどこかで女の子がほしいと考えているにちがいない。それで、こんな夢を見たのだろう。
きれい、というより笑顔のかわいい子だった。
夢からさめても、布団の中でしばらく幸せな余韻に浸っていた。
女の子を持った父親というのはいつもこんな気持ちでいるのか、と少しうらやましくなった。
しかし、すぐに思い直した。現実なら、この子を嫁に出す時、きっとつらい思いをするだろう。
夢でよかったのだと思うことにした。あたたかなぬくもりのようなものが、まだ胸のなかに残っていた。
これが今年の初夢である。
2004-01-07 03:42:00 | Permalink | コメント(0) | Trackback(0)
リニューアル
年が明けたからといって、何が変わるわけでもない。
それは十分わかっているのだけれど、やっぱり何か新しい気持ちになりたい気がして、サイトのリニューアルを試みた。
前々からがらっと変えてみたいと思っていたが、見慣れると、なかなか変えづらくて、そのままになっていた。
どうせ変えるならと思って、フレームを使ってみた。
本当は、もっと変えてみたいが、何しろ今までのページを、新しい表紙に合わせる作業が大変だ。
しばらくは、これで様子を見て、気が向いたら少しずつ変えていこうと思う。
2004-01-05 01:08:28 | Permalink | コメント(0) | Trackback(0)
