春愁

だれかが仕事中に駐車場の白線を引き直したらしく、ペンキ塗りたてのため、昼飯を食べに行こうと思っても車を出すことができない。仕方がないので、自転車を借りて近くのコンビニに出かけた。

作業服のお兄さんたちで混みあっている中、筍ごはん幕の内という弁当を買って外に出た。

サドルの位置が低すぎて足が曲がったままになリ、漕ぎにくかったので、途中で車をとめて調整した。足が伸ばせるようになったら、背筋が伸び、遠くが見渡せるようになった。

急にあたたかくなってぽかぽかの陽気である。田舎道を自転車で走っていると、遠くの山並みが春霞にかすんで、うす青からしだいに色を変え波のようにうねっているのが見える。家々の甍がまぶしい光をはねかえして、ペダルを漕ぐたびにキラキラ光る。

ぼんやりした気分でそんな景色を見ていると、このままどこかに旅にでも出かけたくなってくる。

どこか遠くの辺鄙な海辺の宿に投宿し、寝間着丹前姿でひねもす砂浜にでも寝そべって、小鳥や犬がやってくるのをながめていられたら、どんなにかいいだろう。

そんなことを考えながら、ふらふら帰ってきた。考えるだけで、なかなか旅になど出られないのは分かっているが、毎年この季節になると、旅心に誘われる。こういうのも春愁というのだろうか。

2006-03-27 12:47:35 | Permalink | コメント(0) | Trackback(0)




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